ブックレビュー

『聖書教理がわかる94章 キリスト教神学入門』 by junstott

J・I・パッカー著、篠原明訳『聖書教理がわかる94章 キリスト教神学入門』いのちのことば社、2012年

概要

キリスト教信仰にとっての基盤となる事柄である94のワードを

第一部 創造の主として啓示された神
第二部  救い主として啓示された神
第三部 恵みの主として啓示された神
第四部 運命の主として啓示された神

の各部にまとめて解説する。

「94章」と言うととても長い本に思えるが、1章は2,3ページで終わるので、「94語」と言った方が内容に即している気がする。
「啓示」「創造」「犠牲」「救い」「聖化」「天」などのワードが、関連聖句と共に簡潔に解説されているので、さっと読むことも、関連聖句を逐一開いてしっかり学ぶこともできる。
聖書から導き出される諸々の事柄をワードごとに簡潔にまとめた本である。

感想

この本は私がキリスト教書の読書を始めたばかりの時期に読んだ本で、その後KGK(キリスト者学生会)の活動に参加する中で、「これってどう説明したらいいんだろう」と思ったときに辞書のように開いて何度か参考にした本である。
辞書のようにも扱えるという点では、この本は最初から最後まで読まなくてはいけない本ではないかもしれないが、この94章を最初から最後まで読み終えたら、自分の中で雑然としていたキリスト教の諸々の語・概念が整理され、繋がっていくと思う。少なくとも私はそうだった。

辞書みたいな本と言うと読みたくない方がいるかもしれないし、「『一般啓示』とか『有効召命』とかいう用語を使わなくても信仰生活はできる」と思う方もいるかもしれないが、信じている内容を言葉で表すのは大切なことである。
そうしないと何を信じているのか、何を信じればいいのかが分からなくなるのは必至である。
タイトルの『キリスト教神学入門』の通り、神学とはそうした「信じている内容を言葉で表す(あるいはそれを読んで理解する)」営みであるし、そう考えると別に神学は敷居の高いものでもないと思う。

言葉で信仰の内容を言い表すことに真摯に向き合い、しかも簡潔であるこの本は、神学の営みの入り口の最良の本の一つだと思う。