旧約聖書

ホセア書~子どもの名前に隠された意味~

預言者ホセアの苦い経験~結婚~

ホセアは、北イスラエル王国の預言者として、ヤロブアム2世(793~753)の時代に活躍しました。ホセアは、自らの苦い体験を通して神様の愛を知り、異教の神様に礼拝を捧げている人々に神様の裁きと恵みを多く語りました。

あるこーくん
あるこーくん
ホセアの若い体験って何ですか?
ダビデさん
ダビデさん
あるこーくん。若い、ではなく苦い体験だよ。彼は本当につらい人生を通らされるんだ。

ホセアはホセア書の冒頭で、姦淫の罪を犯しているゴメルを妻にすることを命じられます。

行って、姦淫の女と姦淫の子らを引き取れ。ホセア書1章2節

実は、この神様のあまりにも酷な命令に対して様々な解釈があります。いくつか紹介します。

①この出来事自体、寓意で会って、たとえ話である

②幻の中での出来事である

③ゴメルは神殿聖所に仕えていた神殿娼婦であり、その女性をめとった。

④「姦淫の女」とは、これから不貞を行うことがわかっていたこと。結婚するときは、普通の女性だった。

ゴメルという女性がどういう女性であったか、聖書の記述では、はっきりとはわかりませんが、姦淫の罪を犯した(犯す傾向にあった)女性とホセアは結婚することになります。

あるこーくん
あるこーくん
結婚するとき、ホセアはゴメルをどんなふうに見ていたんですか?
ダビデさん
ダビデさん
はっきりとしたことはわからないけど、神様の命令だったから、きっとゴメルの事を一生愛する覚悟があったと僕は思うよ。

こうして、ホセアは、神様の命令に従って、姦淫の女ゴメルと結婚しました。

3人の子ども

結婚した二人の間に、早速1人目の男の子が生まれます。名前は「イズレエル」。意味は、「神が種を蒔く」という意味です。ガリラヤ湖から南西50㎞あたりにイズレエル平原という名前の平原がありますが、その言葉と同じです。

あるこーくん
あるこーくん
ちゃっかりと雑学入れてきますね
ダビデさん
ダビデさん
伝えたい気持ちが前面に出ちゃうんだよ。

そして、その後も2人目,3人目と子供が生まれます。が、この2人の名前には、非常に悲しい意味があります。

2人目の子どもの名前は「ロ・ルハマ」。意味は、「愛されない」

3人目の子どもの名前は「ロ・アンミ」。意味は「私の民ではない。」

あるこーくん
あるこーくん
めっちゃ可愛そう・・・

これらの名前を受けたのは、ゴメルでもホセアでもなく神様です。

神様は子どもたちの名前を通して、神様と北イスラエルの関係を表現しました。

すなわち、北イスラエルの人々の背信の結果、神様は「憐れみを人々には与えない」(ロ・ルハマ)という宣告と背信を続ける人々は、もはや「神様の民ではない」(ロ・アンミ)という神様の想いがこの2人の名前に表現されています。

 

 

実は、この2人目、3人目の子どもはイズレエルとは異なり、名前に「彼に」という語が入っていないためにホセアの子どもではないのではないか、と考えられています。

つまりゴメルは結婚後、愛人と不倫をしてこの二人の子どもを産んだのです。

この出来事だけでも、ホセアにとって非常に耐えがたい苦痛であることは間違いありません。しかし、それで終わらずゴメルは、産んだ子供たちを捨てて愛人の元へ行ってしまいます。

あるこーくん
あるこーくん
ゴメルは、なかなか許せんですね。
ダビデさん
ダビデさん
ゴメルに対する怒りより、ホセアの気持ちを考えることが大切だよ。

しかし、こんな酷いことをされたホセアに対して神様はそれでも妻を愛することを命令します。

再び行って、夫を愛されていながら姦通している女を愛しなさい。ホセア書3章1節

その命令を受けて、ホセアは、娼婦に成り下がってしまったゴメルを銀十五シェケルと、大麦1ホメル、大麦1レテクで買い取ります。この金額は30人分もの税金に相当するほどの価値です。

ホセアは、自分を何度も裏切り、他の男とずっと一緒にいる妻を高額なお金で買い取り、彼女のことを正しい道へと救い出しました。

あるこーくん
あるこーくん
どっかで聞いたことのある内容ですね
ダビデさん
ダビデさん
イエスキリストの十字架の話に重なるね。

ホセア⇒自分を何度も裏切るゴメルを高額なお金で買い取り、正しい道へと救う。

神様⇒自分を何度も裏切る人々をイエス様の十字架によって買い取り、命を救う。

名前の逆転現象

ゴメルと愛人の間に生まれた二人の子ども「ロ・ルハマ」と「ロ・アンミ」。二人の名前の意味は、神様の北イスラエルの人々への厳しい想いが表現されていました。

しかし、ホセア書全体は、北イスラエルの人々への厳しい裁きの言葉では終わりません。

あなたがたは、言葉を用意し、主に立ち返れ。・・・

「わたしは彼らの背信を癒し、喜びをもって彼らを愛する。わたしの怒りが彼らから離れ去ったからだ。・・・」ホセア書14章2,4節

もし、北イスラエルの人々が異教の神様への礼拝をやめて主に立ち返るならば、神様は、喜びをもって、彼らを愛することを約束します。

そして、「その日」には、

「あわれまれない者(ロ・ルハマ)」を「憐れみ」、「私の民ではない者(ロ・アンミ)」を「あなたは私の民」と呼ぶようになると神様は人々に伝えています。(ホセア書2章23節)

その日、わたしは応えて言う。-主のことば-・・・

わたしは、わたしのために地に彼女を蒔き、あわれまれない者を憐れむ。わたしは、わたしの民でない者に「あなたは私の民」と言い、彼は「あなたは私の神」と応える。

ホセア書2章22,23節

 

その日には、もはや人々は「ロ・ルハマ」とは呼ばれません。神様の大きな憐れみの内に入れられます。

その日には、もはや人々は「ロ・アンミ」とは呼ばれません。神様の民として歩むことができるようになります。

 

ホセア書で生まれる子どもたちの名前から、ホセア書全体のメッセージを受け取ることができ、神様が介入するときの逆転現象を目の当たりにすることができます。

ぜひ、子どもの名前を確認しながらホセア書を読んでみてください。

あるこーくん
あるこーくん
神様は言葉遊びが好きなんですね。
ダビデさん
ダビデさん
そうだね、でもぼくの名前が「ロ・ルハマ」だったら結構コンプレックスになるね笑

 

参考文献

わかりやすい旧約聖書の思想と概説「下」 西満著 絶版

新改訳2017 聖書

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