ブックレビュー

『五つの”ソラ”から 「宗教改革」後を生きる』 by junstott

吉田 隆『五つの”ソラ”から 「宗教改革」後を生きる』いのちのことば社、2017年

概要

五つの「ソラ」とは、
・ただ信仰のみ(Sola Fide)
・ただ聖書のみ(Sola Scriptura)
・ただ恩恵のみ(Sola Gratia)
・ただキリストのみ(Solo Chiristo)
・ただ神の栄光のみ(Soli Deo Gloria)
という、宗教改革の精神を表した標語である。

五つの「ソラ(ラテン語: sola)、『〜のみ』」から、宗教改革時から今日までをつなぐプロテスタント信仰、福音主義信仰とは何かを解説する。

感想

五つの「ソラ」はプロテスタント信仰の中核となる事柄なので、読むだけで信仰の大枠が分かる本になっている。
しかし、この本は今までレビューしてきた入門書と違い、宗教改革に主眼を据えた内容で、宗教改革の歴史にも触れている。
それゆえ多少とっつきにくさを感じる人がいるかもしれないが、キリストに対する信仰とは歴史の中に突然現れたものではなく、人から人へと信仰の内容が伝えられ続けて今日に至ったものである。
宗教改革とは世界史の教科書にも載る出来事であるが、自分自身が持つ信仰と繋がるとは考えづらい人もいるかもしれない。
しかし、少なくともプロテスタントの教会に集うクリスチャンにとって宗教改革と無縁の信仰というのはありえない。
宗教改革者たちと彼らを支えた教会が五つの「ソラ」を主張したからこそ、あるいは古代の教会に息づいていた信仰を回復したからこそ、今日の私たちの信仰もある。
そうした歴史と今日の私たちの信仰を繋げてくれる本である。
以前も書いたが、読書とは、時代も場所もかけ離れた人と今日ここにいる私を繋げてくれる行為である。
それは決して分厚い本だけに限られたことではなく、このように手に取りやすく読みやすい本でもできることである。
そういう意味で、読書の入り口にもオススメしたい本である。

by junstott