ブックレビュー

『喜びの知らせ 説教による教理入門』 by junstott

朝岡 勝『喜びの知らせ 説教による教理入門』いのちのことば社、2020年

概要

「説教による」というタイトルは、礼拝説教の原稿を元に書かれたという意味。
15回の説教を通して、福音=喜びの知らせについて説かれる。

目次
はじめに
1.福音のはじめ(マルコ1:1-8)
2.良い知らせを伝える者(ローマ10:13-15)
3.福音に仕え、教会に仕える(コロサイ1:23)
4.主イエスを証しする教会(ヨハネ5:30-39)
5.神は語られる(ヘブル1:1-3)
6.「わたしはある」という神(出エジプト3:13,14)
7.いのちを与え、生かす神(使徒14:8-18)
8.私たちのもとに来られるキリスト(ルカ4:42,43)
9.十字架のキリスト(ルカ23:32-43)
10.復活の主と生きる(Iコリント15:12-20)
11.神の子どもとされる幸い(ローマ8:12-17)
12.主と同じかたちに(IIコリント3:18)
13.ひるがえって、新しく生きる(ヨハネ3:1-15)
14.キリストに結ばれて(ローマ6:1-8)
15.あなたを見放さず、あなたを見捨てない(ヘブル13:1-5)
あとがき

感想

「しっくり来る」「分かる」というのが読んでいる時の感想だった。
「ああ、あれね」という冷めた感じではない。
「そうだよなー、そうなんだよなー」と共感しながら読めた。
そういう意味では、著者がパーソナリティを務めていたラジオの”What the Pastors”を聴いているときの感覚に近い感じかもしれない。
リスナーの質問に答えるラジオとは違うが、この本には読者と同じ目線で一緒に聖書に、神様に向かう感覚がある。
説教原稿であるゆえの「近さ」かもしれない。

教理が順序立てて説かれるのではあるが、難しさはない。
クリスチャンとして生きるとはどういうことかを知れる、向き合える本だと思う。
「福音」とは何か から始まり、福音を受け取った者としてどう生きるか が説かれる。
説かれるというより、一緒に考えるという感覚に近いかもしれない。

「どう生きるか」と問われることには不安を感じるかもしれないが、この本を読み終わった後にあるのはむしろ「安心」だと思う。
確かに聖書が私に求めて来る基準が高く厳しく感じるときがあるかもしれない。
しかし、聖書によって自らを啓示される神は「わたしは決してあなたから離れず、決してあなたを見捨てない」と言われる。
神の「わたしはあなたとともにいる」という言葉は真実である。
私の努力によらず、一方的に神に愛され、神に救われ、神が共にいてくださるからこそ、私は安心して地上の歩みを続けることができる。
その喜びを思い出せる読書体験だった。