ブックレビュー

聖書時代の古代帝国~イスラエルの滅亡から新約までの歴史~

本日紹介するのは、聖書時代の古代帝国~イスラエルの滅亡から新約までの歴史~監修 チョ・ビョンス 訳 藤本 匠

この本を読むと、北イスラエル王国の滅亡から、中間時代、ローマ帝国による支配のはじめまでの時代を、細かく網羅することができる。

あらすじ


 

 

①超大国のアッシリアが北イスラエル王国を滅ぼす場面から始まる。

 

そして、新バビロニアの勢力拡大からバビロン捕囚、ペルシア帝国の起こり、などに続き、最後は、捕虜帰還からはじまる神殿建設や、そこでの預言者たちの活躍などが書かれている。

 

前半でのポイントは、預言者たちがどのような点に焦点を当てて、語ったのか。

 

また。周囲の国との関係をどのようにユダヤ人たちは保っていたのか。そこが本書の見所だ。

 


②また、中間時代では、アレクサンドロス大王の時代から入り、ローマ帝国の支配までが続く。

 

ここでのポイントもやはり、周辺諸国とユダヤ人たちとの関係がどのように変化していくのか。

ギリシャ文化がどのようにユダヤ人たちに入り込んでいくのか。

また、ユダヤ人たちは、その周囲からの圧政にどのように戦っていくのか。

 

そして、様々な環境に置かれたユダヤ人がどのような経緯で、救い主への希望を強めていったのか。そのような話が後半部分の見どころだ。

 

感想


 

本書の大きな特徴の一つは、非常に情報量が多いこと。だから正直、本書を1周しただけでは、すべて理解できなかった。

 

 


ぼくは3周は読んだが。それでも、一人一人の出来事などは、把握しきれなかった。

 


しかし、裏を返せば、そのくらい時代背景も一人一人のキャラクターも細かく描かれているということもいえると思う。

本書の良いところはまず、当時の勢力図や、時代背景などが本当にわかりやすく説明してくれるところにある。
イスラエルにだけ焦点を当てた描き方だけでなく、イスラエルを取り巻く、諸外国同士の関係性も深く描かれている。

 


だからこそ、ユダヤ人がどのような状況の中で、滅ぼされ、回復していくのかが、多角的な視点で見ることができる。
また、その歴史の中で預言者の活躍も描かれている。ゼカリヤ、エズラ、ハガイなどが、どのような時代に、どのような言葉を語ったのか。彼らがどんな気持ちで語ったのか。そんなことがわかるようになってくる。この本を読むと小預言書が読みやすくなるのは、間違いない。

 

 

そして、ぼくが本書をおすすめする最も大きな理由は、「中間時代」も描いているという点だ。これが結構、僕にとっては、読んでよかったと一番のポイント。

 

 


例えば・・・旧約聖書には出てこないが、新約聖書で突如として出てくる言葉に「パリサイ人」「サドカイ人」という言葉が出てきて、最初はなんとなく、律法に厳しい人たちだよね。というイメージだった。正直にぼくは実際この本を読むまで、彼らのことが何者かどういう人たちなのか良く知らなかった。

 

 


しかし、この本を通して、その理由がわかった。この人たちは、この中間時代に出てきた人達であり、中間時代を知らなければ、理解することができなかった人物だ。
つまり、本書は、新約聖書を読む上での土台にもなる。と言えると思う。

 

 

あるいは・・・ ユダヤ人が記念して、祝っているお祭りの中に、ハヌカの祭りというのがある。
実はこのユダヤ人が特に大切にしているこの祭りも中間時代に起こった出来事から始まった。

実は、このことも聖書だけでは、なかなか耳に入らない事柄だ。
しかし、このお祭りを知ることで、ユダヤ人が本当に救い主をの存在を求めていたということが深く理解できるようになる。

 

 


聖書の特徴は、旧約聖書から新約聖書までが一貫して、救い主の存在を語っているということ。
旧約聖書のユダヤ人がメシヤ思想を抱いている想いの深さが、そのハヌカの祭りのきっかけに知ることができる。

 


中間時代を知ることで、深まる聖書の理解と、奥の深さ。
本書はそれを楽しく、詳しく、網羅的に教えてくれる良書だ。

 

まとめ


 

 この本は、複雑なイスラエルの滅亡の時代から、聖書では、書かれていない中間時代までがわかりやすく網羅されている点。漫画ということもあり、広い年代にも読んでもらえる非常におすすめできる。

 


キリスト教についてよく知らない。

 


もっと、バビロン捕囚前後の歴史と、中間時代の歴史について手軽なところから勉強したいという方は特におすすめ。

 


ぜひ、一度手にとって、読んでみてほしい。