今回は、新しく読んだ本がないので、一年半くらいをかけて取り組んだ、組織神学/教義学を少しずつ読むことについてざっくばらんに振り返りたいと思う。
私が読んだ本は
・シーセン『組織神学』(聖書図書刊行会、1961年。原著は1949年)
・岡田稔『改革派教理学教本』(新教出版社、1969年)
・エリクソン『キリスト教神学第1巻-第4巻』(いのちのことば社、2003年-2006年)
・神戸改革派神学校『改革派教義学第1巻-第7巻、別巻』(一麦出版社、2012年-2019年)
で、『キリスト教神学』出版前に書かれた序論的な本だが、宇田進『現代福音主義神学』もある。
年間で通読しているカルヴァン『キリスト教綱要』も入るだろう。
とまあ福音主義/保守的なプロテスタント神学の組織神学の本はそこそこ読めたかと思う。
読んで思ったところを大まかにまとめると、
まず一つ目は、「同じように書いている本は一つもない」ところである。
同じ聖書を読んでいながら、その神学のまとめ方が全く同じということはない。
その事実は「真理は一つではないのか?」という疑問を生むかと思うが、神学と教会の営みの多様性の結果と言えるのではないか。「私たちが地上に生きている限り、鏡に映るぼんやりとした像を見るように神学の営みをしなくてはいけない」と、ややネガティブに捉えられるかもしれないが、誠実に聖書に向き合った結果から生まれる多様性は、悪いものばかりではあるまい。
2000年の歴史を持ちながらいまだに多様な読み方できる聖書、その内容の豊かさを表していると言える。
二つ目は、私が完全に同意できる本もないというところである。
それだけ言うとネガティブなことのように思えるが、読書するということは、著者の言うことを鵜呑みにすることではなく、著者と読者の私の対話なので、「本当にそうか?」と思いながら読むことも悪いことではない。
疑問に思った点を調べればより深く学べるし、残っていた引っ掛かりが何かのきっかけで解決することもある。
まあ、私個人の勉強不足という要因も当然あるだろう。
三つ目は、組織神学/教義学の本を読むと、自分の考えが整理されるということである。
組織神学/教義学の本は必ず順序立てられている。
「聖書の内容を解体して並べ替えることは聖書の読み方を硬直させる」という批判もあろうが、少なくとも自分の頭の中で雑然としていた聖書の知識が整理されることは悪いことではないし、その整理される過程で、頭の中で別々に置かれていた事柄が結びつくこともある。
こんなに組織神学/教義学の本を読む必要はないかもしれないが、多くの神学者/牧師がしてきた聖書の読み方を知ることを通して、より聖書を面白く読むことができるようになる体験は、刺激的である。
最後になったが、知らなかった知識も、当然得られる。
by junstott