遠藤勝信『ペテロの手紙第二に聴く 真理に堅く立って ーペテロの遺言』いのちのことば社、2018年
概要
ペテロの手紙第二の講解説教を一冊の本にまとめたもの。
対外的には異教世界との葛藤があり、対内的には不道徳や倫理的腐敗の問題があった1世紀のキリスト教会に向け、自らの死が近いことを感じていた使徒ペテロが書いた手紙である。
そのメッセージは、すでに与えられた真理に堅く立つこと、そして主のわざに励むことである。
感想
この本で重要な言葉は、「思い起こす」と「繰り返す」「続ける」である。
クリスチャンは自分達に与えられた福音、信仰の内容を常に思い起こし続けなければならない。
それは私たちが目先の欲や不安にかられて、簡単に神から与えられた恵みを忘れてしまうからである。
「信仰に堅く立つ」ためには御言葉を聴き続け、自分自身を省み続けなければならない。
この本で示される困難や試練を乗り越える方法は特別なものではない。
自分の基礎となる教えに常に立ち返り、繰り返し御言葉を聴いていく中で、私たちは成長し、悩みや苦しみの中にあっても忍耐する者とされていくのである。
私たちに与えられた恵みの大きさを思い返すこと、毎週の礼拝で養われ、日々聖書を読んで養われること。
決して派手でも特殊でもない営みの中で私たちは、この世にはない、この世の強さでは測れない「強さ」を持つことができる。
ですから、ぜひとも、私が去った後いつでも、あなたがたがこれらのことを思い起こせるようにしておきたいのです。IIペテロ1:15
私たちが今日聴く福音は、初代教会から連綿と続く聴き続け、語り続ける働きの結果である。
私たちは明日からもその福音を聴き、また語る者でありたい。
by junstott