ジョン・ストット『信仰入門』(2020年、いのちのことば社)
要約
イエスを救い主と信じ、自分を導く主なる方と仰ぐと決意し、彼への服従を誓う。
それから、教会の忠実な会員、社会の責任ある市民として、自分の信仰による歩みをし始める。
これが信仰入門(Basic Christianity)である(p.7)。
「1 正しい態度」の章で、まず神を探求する際の正しい態度について説かれる。
「第1部 キリストの人格」では
・キリスト自身の主張
・キリストの品性
・キリストの復活
が検証され、「イエスは神であった」と結論される。
「第2部 人間の必要」では、「罪の事実と本質」「罪の結果」が論じられ、「キリストの死」、十字架だけが人間の罪の問題を解決し、神と人とを和解させたことを説く。
「キリストの救い」の章では、救われたキリスト者が聖霊を受けること、キリスト者は具体的な地域教会に属さなくてはいけないことが説かれる。
「第3部 人間の側での応答」では、キリスト者となった者は「犠牲を覚悟すること」、しかし、イエス・キリストが与えてくださる富と満足は、あらゆる損失を補って余りあるほどのものであること(p.229, 230)が説かれる。
「決心に進む」の章では、イエス・キリストに、主として心の中に入ってくださるよう祈り求めることが勧められる。
最後の「クリスチャンであるとは」の章で、具体的なクリスチャン生活の指針が与えられる。
感想
この本を初めて読んだのは1年半前で、当時の感想を読むと「三浦綾子さんが推薦文で書いている通り、既に信仰生活に入っている人の再入門・再確認に良い本」「『聖書になんとなく興味がある』くらいの人にはちょっと大変そう」「結構厳しい」と書いており、二度目に読んでもそこのところは、変わらない。
しかし、今回 読んで変わったのは、「決心に進む」の章を読んで感じたことだ。
それまで読んでいた限りでは「まあ分かる」と読み進めていたが、ふと第三者視点というか、引いた視点で読んでいる自分に疑問を感じ、「もしかしたらストットは、『生ぬるく、熱くも冷たくもない』クリスチャン」である私に、決心に進むように勧めているのではないか?」と思うようになった。そして、そのような視点で、終盤を読み進めると、心揺さぶられるものがあった。
クリスチャンの方は、「クリスチャンであるとは」の章を、「『クリスチャンであるとは』なんて教えられなくても分かるわ!」と思わずぜひ読んでほしい。
人間は(少なくとも私は)高慢になりやすく、怠惰なもので、すぐにぬるい態度に落ち着いてしまう。
そんな私に、ストット先生がまた「信仰入門」する仕方を教えてくれたような読書体験であった。
何度でもまた帰ってきたい本だと思った。
最後に補足すると、「聖書になんとなく興味がある」くらいの人が読めないわけではない。
むしろこの本をじっくり読めば、必ず何か得られるものがある。
少なくとも、「クリスチャンとはどういう人か」は十二分に伝わってくるだろう。
ストットの邦訳はほとんど読んだが、一番「熱い」本だと思う。
by junstott
この章で論じられる内容は更に、同じ著者の『地の塩 世の光』『地には平和』『和解の務め』『今日におけるキリスト者の宣教』などに詳しく展開される。