ホセアってだれ???1章~3章
ホセアは北イスラエル王国で、ヤロブアム2世(BC793~753)の時代に活躍した預言者です。
当時の北イスラエル王国は、政治的には繁栄し、他国に比べても力を持っていました。しかし、国の内情は弱い人々を虐げ、異教の神様を礼拝しており、聖書の神様に対する信仰はほとんどありませんでした。
そんな、神様に背中を向け続けている北イスラエル王国の人々を助けるために、神様の人々に抱いている想いを伝える役割を担ったのが、ホセアです。
ホセアは預言者の中でも最も酷な経験をした人物です。彼は神様から、異性との関係に堕落してしまっているゴメルを妻にすることを命じられます。
そして、二人との間に子ども「イズレエル」が一人生まれます。しかし、ゴメルが産む第二子、第三子はホセアの子どもではないと考えられています。つまり、ホセアはゴメルに不倫されます。
ホセアはこのゴメルとの結婚生活で、大きな苦しみを経験しました。
ホセアは自らの苦い経験を通して神様の愛を知り、その神様の愛を北イスラエルの人々に伝えました。
そしてこのホセアの体験は、神様と北イスラエル王国の人々との関係を表しています。つまり、ゴメルと同様に、北イスラエル王国の人々が、異教の神様を信仰するというふしだらな行いをすることでどれだけ神様がホセアと同様に傷つき、苦しんでいるかを表現しています。
裁きを伝えるホセア4章~10章
弱い人々を虐げ、異教の神々に礼拝を捧げ、堕落している人々の事を神様は次のように語っています。
この地には、真実もなく、誠実さもなく、神を知ることもないからだ。呪いと、欺きと、人殺しと盗みと、姦通がはびこり、流血に流血が続いている。4章1,2節
今や、エフライムよ。あなたは姦淫をし、イスラエルは汚れてしまった。・・・彼らは、主を裏切り、他国人を生んだ。5章3節、7節
エフライムは、偶像にくみしている。・・・彼らは酒を飲んでは、淫行にふけり、淫らな振る舞いで、恥を愛してやまない。 4章17,18節
彼らは、悪事によって王を、偽りによって首長たちを喜ばせる。彼らはみな姦通する者。7章3,4節
あなたは、自分の神に背いて姦淫をしたからだ。あなたはすべての麦打ち場で姦淫の報酬を愛した。9章1節
罪の大きい人々に対してホセアは神様の裁きを伝えます。
エフライムは懲らしめの日に、恐怖のものとなる。5章9節
エフライムは虐げられ、さばかれて打ち砕かれる、彼が自ら進んで人の決め事に従って歩んだからだ。5章11節
主に立ち返ろう11章~14章
ホセア書には、繰り返し「主に立ち返る」という言葉が出てきます。
この言葉はどれほど罪が大きくても、北イスラエルの人々が心から神様に悔い改めをして、異教の神様への礼拝や、弱い人々を虐げる生き方をやめる時、神様は罪を赦し、喜んで愛するという希望と愛につながっていきます。
イスラエルよ。あなたの神、主に立ち返れ。14章1節
「わたしは、彼らの背信を癒し、喜びをもって彼らを愛する。」14章4節
まとめ
ホセア書は、ヤロブアム二世の時代に異教の神様に礼拝を捧げ、堕落していた人々に、堕落している実態とその結果に訪れる裁きの宣告。そして、罪を悔い改める時に与えられる神様の愛の赦しを語った書になっています。
また、神様の言葉を語ったホセアは自身の苦い体験を通して、北イスラエル王国の人々に神様の想いを語った人物です。
ホセア書を読むと、神様に背いた人生を送っているとき、神様が傷ついて苦しみを味わっているのかをホセアの経験を通して知ることができます。そして、いつでも神様に「立ち返る」ことをすれば、神様は喜んで、罪を赦し愛してくれることを知ることができます。
参考文献
わかりやすい旧約聖書の思想と概説「下」 西満著 絶版
新改訳2017 聖書