渡部良三さんについて
渡部良三さんは、第二次世界大戦で中国の深県という場所に派遣され、最前線で戦争の悲惨さを目の当たりにした方です。中国に滞在中、度胸試しという名の「刺突訓練」を上司から命令されますが、50人いた部隊の中で唯一、その命令を拒否して、キリスト教徒としての信仰を守り抜きました。上司からの命令に背いたことで、同じ日本兵から何度もリンチされ、様々な部隊にたらい回しにされ、日本兵からは危険人物として、敗戦を迎えることになりました。終戦後、渡部さんは自身の戦争経験を様々なところで講演し、戦争責任の問題や、戦争の悲惨さを多くの人に伝えています。今回は、この渡部良三さんの経験されたことと、戦争に対する思いを、ある高校の講演で話されたことをもとにシリーズで話したいと思います。
戦争経験者の渡部良三さんから学ぶ~⑧神様から与えられた3つの目~
渡部良三さんは、高校生に向けた講演の最後に、『3つの目』の話をしました。
”神様は、私たちに3つの目を与えてくれた。僕の孫に2人の孫にそう言います。孫2人おりますけれども、その孫たちに言うんです。3つの目を与えてくれた。で、その3つのうち2つは顔に付いていますよね。これをおおかたの動物皆持っています。人間の目は他の動物と違って、美しいもの醜いものこれを見分け、形の良い物悪い物を見分けます。で、3番の目は、これは肉体の目が見つけた美醜の中に人間でなければ、認識できない形のない美しいもの醜いもの、正しい物、正しくないもの、これを見分ける力を持っている。”
渡部良三さんは、戦時中いつも人の内面を見ていました。戦争の被害者の思いに目をむける事ももちろんそうですが、古年次兵が中国人に怒鳴る時も、戦争を経験して1年しか経っていない若い隊員が平気で強姦していた時も、人を殺すこと罪を犯すことによって、失う『真理を見る心』にもしっかりと目を向けていました。
また、渡部良三さんは、高校生に向けてこう語ります。
”やっぱり、心の目を心して磨くかどうかということによって、・・・人生を閉じるときには、それを磨く努力をした人としない人を比べると、ずいぶん大きな違いが出るんじゃないかと私、そう思っています。
ですから、肉体の目は、自分の意思で閉じることがで来ます。今私はこうして閉じています。皆さん一人も見えません。目を開けてこうして見ると一人一人顔が見えます。しかし、心の目だけは自分の意思で閉じたらこれはその時からその瞬間から悪意の道を転げ落ちるそういうことになるだろう。ですから一つありきたりの言葉の様ですけど、皆さん検討してみてください。”
『心の目』を磨き続けることの重要性を渡部良三さんは、語ります。人は見た目を磨くことには、努力を厭わないことはよくありますが、内面を磨き続けることに関しては、なかなか思いが向かないことが多くあると思います。
渡部良三さんが話すように、『3つの目』が十分に開かれるように、正しいものと正しくないものをはっきりと見分けられるように、日ごろから『心を磨く努力』をしていきたいと思います。
ここで書いたのは、渡部良三さんの人生のほんの一部でしかないので、下にある本を読んで渡部良三さんが経験されたこと、考えたことを学んでみてはいかがでしょうか。
シリーズはこれで終わります。最後までありがとうございました。